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Hideko Davisさん

【写真は、チンツィア・コデンさん】

イタリア語を教えて


  チンツィア・コデン(イタリア)

−日本の大学でイタリア語を教えているそうですが、クラスは何人ぐらいですか。

コデン イタリア語1〜6のクラスがあって、全部で80人ぐらいです。初心者や上級レベルなどによってクラスが分かれ、人数もまちまちですね。定員は30人ですけど、少ないクラスだと2,3人のところもあります。

−大学で何年教えていますか。

コデン プライベートレッスンとか社会人に教えるとか、大学以外でも教えていますが、大学でイタリア語を教えているのは8年かな。

−学生たちはどんな目的でイタリア語を勉強するんでしょう。音楽の勉強をイタリアでしたいとか、観光でナポリやローマを回りたいとか、いろんな方がいるでしょうね。

コデン やはりイタリア観光に出かけたいという方が多いですね。でもイタリア語を選択した理由でいちばん驚いたのは、「単位を取りやすいと聞いたから」というのがありましたね。平気でそう言われるのがショックでした(笑)。でも全然違いますよ。イタリア語は文法が難しいからそう簡単じゃないですよ(笑)。

−日本人にとってどのあたりが難しいのでしょう。

コデン 最初に覚えなければならないことがあるでしょう。イタリア語は英語より動詞の変化が多いし、冠詞や代名詞も多い。大学の授業だけで覚えるには時間が足りないかもしれません。ですから上達したいと思ったら自分でそれなりに勉強しないとね。

−どんなことばでも自分で一生懸命覚えないと語学はうまくなりませんよね。

コデン イタリア語は女性名詞、男性名詞があって、英語と違って名詞に性があります。それに従って冠詞も形容詞も所有形容詞もさらに変わります。この辺は練習しながら覚えていかないといけませんよね。暗記だけだとちょっとつらいでしょう。

−どんな教え方をしてますか。教科書をどんどん訳していくやり方もあれば、大学は一般に上達したければ自分でがんばるのが普通ですよね。

コデン 私もイタリアの大学で日本語を勉強したときはそうでした。教材も少ないし、先生も大変みたいでしたが、どんどん先に行く先生に、私たちも追いつくのが大変(笑)。自宅で勉強しないといけなかった。それでも日本に来た当初は、日本語が分からないし、まったくしゃべれませんでした。日本語とイタリア語は随分離れたことば、違う言語だから、無駄だと思っても時間をかけて勉強しなきゃ、ですよね。

−日本人がイタリア語を学ぶときに気をつけることってありますか。

コデン やはり文化の違いですね。例えばお釣りの返し方とか。

−イタリアでは?

コデン 日本の場合はお札も小銭もお釣りを渡すときはちゃんと説明しますね。イタリアでは小銭を返して、それからお札に進みます。それで渡したお釣りで、最初に出したお札にたどり着きましたよ、と言いますね。逆の精算になります。ちょっと想像しにくいかな。

−日本人にイタリア語を教えているときと、日本人以外に教えるときはどんなところが違いますか。

コデン うーん。そうですね。教室で質問しても、日本人はなかなか手を挙げてくれませんね。いまはその人の表情を見て、分かっていても遠慮しているだけなのか、まったく分からないので手を挙げないのか、だんだん分かってきましたけど(笑)。そのうち自分から進んで答えるようになってきました。

−自分で厳しい先生だと思いますか、それとも優しい先生だと思いますか。

コデン 最初のころは厳しかったかな。でも最近は優しい(笑)。
(2011年6月17日、吉祥寺)(>>続く