私は現在剣道３段で、日本で週３回ほど道場で練習しています。剣道を始めたのは妻の薦めがあったからです。妻は高校時代に剣道をしていて現在は初段です。２人で同じ趣味を持つのはいいことだと考えて、私は道場に通い始めました。

　私は大学時代にフェンシングをしていたのですが、剣道はフェンシングと全く違っていました。動きの方向が横と縦という違いだけではありませんでした。剣道では型と精神が大切です。フェンシングでは相手に剣の先が当たればポイントになりますが、剣道では必ずしもポイントになるわけではありません。型と精神が一致した時に初めてポイントがもらえるのです。フェンシングよりもっと精神的に深いと感じて剣道にさらに興味を持つようになりました。

　例えば75歳のお年寄りがずっと力がある若い人と闘うとします。フェンシングなら必ず若者が勝ちますが、剣道では経験があり、精神力が強いお年寄りのほうが勝つということがたびたび起こります。年をとってもできるスポーツです。それでますます剣道が好きになりました。

　ヨーロッパで剣道が盛んなのはフランスです。フランスでは7000人ぐらい剣道をしている人がいます。フランスでは柔道や剣道など武道全体の連盟が一体となって支援しているのです。ですから柔道などからのお金が剣道をも支えています。

　とても残念なのですが、イギリスでは剣道があまり盛んではありません。せいぜい700人から1000人ぐらいの人しか剣道をしていません。道場も他の「居合い」や「縄術」などと一緒に使っています。先生もイギリス人が多く、時々日本から強い先生が来て教えてくれる程度です。私は日本で強い先生から剣道を習うことができて本当に幸運です。
（Novembery 2008）

* 「仙台に引っ越したわけ」 by James Dolan （「日本体験 外国体験」 第55回）