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「おみくじ」と「お守り」 2


by 石川真帆 (日本)

 台湾の「お守り」ですが、これも前回に書いた赤いビニール製の袋のものは無料です。最近は日本に習ってか、かわいい携帯ストラップのようなものが100元〜で売っていますが、そういったものは御利益というよりは「かわいい」という感覚で買う人が多く、それらを買った人でも、普段はその赤い袋を財布等に入れて持ち歩いています。

 台湾人にとってお寺は心の拠り所であり、日常生活に欠かせない存在です。年に数回のお参りではなく、普段からよくお参りに行きます。「祈る・願う」という行為はもともととても純粋な行為で、その行為にお金は必要ありません。ですから、台湾人にとって「おみくじ」や「お守り」は、「祈り・願い」にとても直結していると思います。「おみくじ」は、そのとき困っていること、叶えたいことを示す道標のような存在であり、「お守り」は身を守ってくれればそれでいいわけですから、見かけがシンプルであっても十分なのです。

 私がこう思うのは、もしかしたら学生時代のアルバイト経験が影響しているかもしれません。私は学生のときに京都に住んでおり、某お寺で1月1日から7日までアルバイトをしたことがあります。日本人の多くはお正月に神社へ行きますが、そこは有名なお寺で、元旦からたくさんの人が参拝に来ました。「お正月と言えばおみくじ!」という人も少なくなく、たくさんの人がおみくじを引いていき、なんと三が日(1/1〜1/3)のおみくじの「売り上げ」が10万円でした。そこのおみくじは1回100円でしたが、紙のおみくじだけで10万円にはちょっとショックでした。3日間で1000人もの人がおみくじを引いたという計算になりますが、「凶」を引いた人は、もう一度引く人が多かったのには興味深かったです。京都の人だからか、日本人だからかよくわかりませんが、「凶」を引いたほとんどの人が「凶」以外の結果を期待して、プラス100円を払って、もう一度引いていました。お守りの売り上げも相当だったと思います。

 この経験をきっかけに、おみくじを引く気がすっかり薄れていた私ですが、台湾に住んでからは台湾のお守りを持ち歩き、困ったことがあればおみくじを引いています。みなさんも台湾に遊びに来られたときは、占いに行くのもいいですが、お寺でおみくじを引くのもいいと思いますよ!
(2011年2月)