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「おみくじ」と「お守り」


by 石川真帆 (日本)

 私が台湾で生活している中で「ああ、理にかなっているなぁ」と思うことのひとつが「おみくじ」と「お守り」です。

 日本人にとっておみくじと言えば、お正月に初詣に行ったときに引くもの、その年の運勢を占うという目的で引く人が多いと思います。お正月以外にも、観光で有名な神社やお寺に行ったときに「ちょっとおみくじひいてみよう」という感覚で引くこともあると思います。お守りを買うタイミングはおみくじを買うときと似ていて、お正月に初詣に行ったときや観光で有名な神社やお寺に行ったとき、あるいはある特定の願い(縁結び・学業成就など)について御利益があると言われている神社やお寺に行ってわざわざお守りを買うというのが一般的だと思います。

 台湾人にとっておみくじと言えば、お正月に引く人もいますが、特定の日に引くというより、日常生活の中で何か神様にお願いをしたいときに引くものだと思います。簡単に言うと「身近にある占い」でしょうか。最近ついてないな、転職したいな、引っ越ししたいな、恋人がほしいな、などと思っているときにおみくじを引きます。

 台湾のお守りは、少し大きめのお寺(廟)ならどこでも手に入ります。一番一般的なものは、赤いビニール製の袋の中に紙でできた御札が入っているものです。袋の表面には、それぞれのお寺の印が押されていて、裏面には平安祈願の中国語(平安祈救)が書いてあります。とてもシンプルなものですが、たくさんの人が財布に入れて持ち歩いたり、車のバックミラーにぶら下げたりしています。

 ではどんなことが「理にかなっている」のか。簡単に申し上げますと「台湾では祈りや願いにお金は不要」ということです。日本でおみくじを引いたことがある人なら誰でも知っていると思いますが、たいていタダではありません。お金が必要で、50円−100円、高いところだと200円くらいするところもあります。お守りもお金が必要です。500円前後が相場でしょうか。自分を守ってくれるものが500円。日本人にとってお守りは買うものですから、もしかしたらあまり「安い・高い」と意識していないかもしれませんね。

 一方、台湾の「おみくじ」ですが、タダで引くことができます。無料だからといって引きたい放題というわけではありません。おみくじを引く前には神様にしっかりとお願い事をして、さらにそのお願い事について本当に神様に聞いていいかどうか、おみくじを引いたあとも、このおみくじで正しいかどうかなど確認をする過程があります。「あなたの知りたいことはそのおみくじで正しいですよ」となってはじめて紙に書かれている内容を見ます。(続く)
(2011年1月)