日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
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薛芳艶さん

中央が高野加世子さん

日本語を教える楽しみ


by 高野加世子 (日本、早稲田京福語学院)

 日本語教師になるために日本語教師能力試験を受けることにしました。そのための準備として夏期集中講座を受けました。試験はとても難しくて20%ぐらいの合格率でした。無事合格したときには本当にうれしかったです。

 私は学生時代にオーストラリアに語学留学したことがあります。その時に、書道、折り紙、浴衣の着付けなどの文化交流の手伝いをしました。学生達は特に漢字に興味津々で自分の名前を漢字で書きたいと言われました。しかし漢字を探すのも大変でした。例えばVANと言う人の場合「番」や「晩」などいろいろあるうちのどれを選べばいいのか迷いました。彼らは必ず意味を聞いてきます。うまくいい字が探せたときはいいのですが、なかなか難しく時間がかかると「本当に日本人なの」などとからかわれたりしました。困ったのが「JAMES」君でした。漢字には「ジェ」という音がありませんから「時」と小さい「絵」を使って時絵衣夢図と表しました。この時も意味を聞かれ、一つ一つの字の意味は説明できましたが、名前全体の意味はよくわからない、と言われてしまいました。ただ、漢字一つ一つに意味があるということには非常に興味を持ってくれて、漢字の素晴らしさを感じてもらえたと思います。

 浴衣も喜ばれました。私は着方を習っていましたが、若い人たちは着方を知りませんでしたから着せるのが大変でした。でもみんなが喜んでくれたので嬉しかったです。また日本にとても興味を持っている人が多いのに驚かせられました。この経験も私が日本語教師になった理由の一つかもしれません。

 実際に日本語教師になって初めの頃は戸惑うことが多かったです。学生のほうが年上の人ばかりだったし、教えた経験が全くありませんでしたからとても不安でした。どうしても真面目すぎる授業になって自分でも早く終わらないかなと感じていました。今は教えることがとても楽しいです。授業中笑いが絶えませんから、学生も楽しんでいてくれていると思います。

 日本語を教えることは文法などの知識を教えるだけでなくその場面の背景や、話し方など総合的なことも教えることだと思います。これからもいろいろなことを経験して授業に生かしていきたいと思っています。
(2010年9月)