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三本木子(李紅麗)さん

写真は、三本木子(李紅麗)さんと家族

中国と日本のお産


by 三本木子(李紅麗)

 私は息子が2人います。1人は中国で産みましたから中国と日本の国籍を持っていますが、次男は日本で生まれたので日本の国籍しかありません。なぜこんなことになったかと言うと私が帰化して日本人になったからです。

 長男を産むときには初めてのお産でしたからハルピンの実家に帰りました。そこで検診を受けるために病院へ行きました。日本では受付は行った順番で番号札などをもらってまっています。ところは中国では診察用紙を直接医師に手渡します。「お願いします」と競争のように受け取ってもらわなければなりませんから、とても大変でした。

 また超音波でお腹の赤ちゃんを診てもらうのですが、1つの部屋にベッドがいくつも並んでいました。産科だけでなく全ての病気の人がそこで検査を受けます。男の人も女の人も一緒にそこのベッドに寝かされます。カーテンも無いので隣の人が何をしているのか全部見えてしまいました。おまけに順番を待っている人の席からも丸見えでした。幸いお願いして別の部屋で検査してもらうことができましたが、とても恥ずかしくて二度とそこで検診を受ける気持ちになれませんでした。

 中国の病院で一番不安だったことは私が RH- の血液だったことです。私は日本で産科にかかったときに初めて自分がマイナスだということを知りました。医者からマイナスの人はお産のときに危険度が高いと言われていましたのでとても不安で、医師に何度も説明したのですが、全然取り合って貰えませんでした。そんな話は聞いたことがないと言うばかりでした。またほとんどの子供が帝王切開するというのにも違和感を覚えました。中国では一人っ子ですから、子供はとても大切です、ですからほとんど帝王切開なのです。ですからほとんどの人が陣痛を知りません。でも私は自然に産みたかったです。運よく長男は陣痛が来て直ぐに産まれましたから切られずに済みました。

 中国での経験がありましたから次男の時は日本で産むことにしました。日本では陣痛促進剤を使って産む時期をコントロールしています。私はそれも嫌でした。そうこうしているうちにある日突然陣痛が起こりました。病院に「救急車で行ったほうがいいでしょうか。直ぐに産まれるかもしれません」と電話すると大丈夫、用事を済ませてからいらっしゃいとのんびりと看護師さんが言いました。それに従ったのが間違いの元でした。タクシーで行ったのですが、道が込んでいて病院まであと5分というところで産まれてしまいました。どうすることも出来ずに、夫は産まれた子供を抱えてタクシーの中でおろおろしていました。病院到着後あわててやってきた看護師さんに臍の緒を切ってもらってやっと入院しました。

 2回の出産、いろいろありましたが、今2人の息子はすくすくと育っています。
(2010年3月)