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大塚恵子さん

写真は、大塚恵子さん(右から2番目)。

留学生も変わってきた


by 大塚恵子(日本)

 私は長い間日本語教師をしてきて、教師にならなければできないような経験をしました。学生からたびたび個人的な悩みを聞かされたりしましたし、卒業後に結婚式に招待されたり、長い付き合いをしている学生も大勢います。

 最近は韓国の学生を教えることが多いのですが、以前の学生とは様子が違ってきているように思います。授業について言えば10年ぐらい前の学生は教師がまじめに教えていればそれで満足していました。今はまじめに教科書だけを教えるのでは駄目で授業の工夫が必要です。

 上級の場合、堅い新聞記事などを用意しても、自分に興味がない記事だと全然やる気を示しません。学生の目的がかなり違っているからです。進学のために日本にやってくる人ばかりではないのです。また日本語を磨くというより自分探しの一つの手段として日本語学校にやってくる人が増えているように感じます。母国で就職できないから日本語でも勉強するかという軽い気持ちで来る人もいます。もうそこそこ日本語もできる人も多いです。中にはもう1級に合格している人までいます。その中に昔ながらの進学希望者が混じっています。ですから授業の方向性を見極めるのがますます難しくなっています。

 日本に来て孤独に悩まされる学生も大変多いのです。勇んで来たものの学校とアルバイト先を往復するだけの生活。教会に行っている人はそこで友達を作ることができますが、そうでなければ寂しい生活が待っています。「職場の人に話しかけたら」と言うのですが、発音が悪くて通じないこともあって気後れするようです。また教科書に載っている「あなたは〜ですか」式の話し方をすると、若いぽんぽん言うような人とはなかなか話がかみ合わないのだそうです。また職場に若い人がいないので話が合わないとか、ぼそぼそとしたお年寄りの話が聞き取れないと言います。では「イベントに参加したら」と言うと忙しくてなかなか時間が取れないとか、休みの日は疲れてどこにも行きたくなくなってしまうという返事が返ってくるのが普通です。

 それでも学生たちは日本のことを知りたいもっと日本の生活に馴染みたい日本人と友達になりたいという気持ちを持っています。ですから日本語学校も変わって行ったほうがいいと思います。修学旅行や工場などの見学会、地域の人々を招待してのスピーチコンテストやパーティーなど日本に触れることができる行事を組み入れて学生たちの日本滞在を豊な物にしてほしいと思っています。
(October 2009)