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気遣いと無視と


by Kim Sun-fe(韓国) 
Kim Sun-feさん
僕は日本の専門学校と大学でデザインを学びました。
最初に静岡で暮らしましたが、初めて出会った日本人はのんびりした親切な人が多かったです。アルバイトで新聞配達をしていたのですが、その経営者がとてもいい人で、しょっちゅう飲みに行ったり釣りに連れて行ってくれたりしました。自分の家に招待してくれるのは勿論、お孫さんに行くときなども一緒に連れて行ってくれました。そんな時には決まってごちそうがでました。イチゴ狩り。サクランボ狩りなどいろいろな経験ができたのはその経営者のおかげだと感謝しています。

 新聞配達先のお客さんもとても親切で「暑いでしょう」とか「大変ね」「頑張ってね」と言いながらよく飲み物を出してくれました。中にはお小遣いをくれるお客さんもいたのです。新聞を入れ忘れた時に「昨日新聞入ってなかったよ」と配達所に電話しないで翌日に言ってくれるお客さんもいました。ですから、私の日本人に対する印象はたいへんよかったのです。

 けれども若者との付き合いでは不可解なことがいろいろありました。静岡と名古屋で暮らしました。その間、学校で話した学生と、道ですれ違ったとき無視されることが何度かありました。私としては結構親しくなれたと感じていたのでショックでした。知り合いなのに挨拶も返さないなどということは、私には理解できないことでした。

 大学時代はクラスメートと一緒に旅行をしたり一緒によく遊びました。ですからそれなりに日本人の友達もできましたが、親友と呼べるほどには至りませんでした。日本人はなかなか心を許さないと感じました。今では韓国人と日本人の付き合い方が違うのだと思っています。

 日本で暮らすうちに日本人の一番いいところは他人に気を遣うところだと思いました。韓国では車の運転中、道を横切る歩行者を待っていると「何、ぐずぐずしているんだ」と後ろからクラクションが鳴らされます。自分が少しでも早く行きたいという気持ちが強いのです。ですから走行中も次々に割り込んできます。そのため韓国ではしょっちゅうクラクションを鳴らすのです。車の運転だけでなく様々な場面でもっと気を遣ってほしいと思うことがいろいろあります。

 私は20代の大半を日本で過ごしたので、この点で韓国に帰ってからなかなか慣れなくて困っています。
(June 2008)