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日本で学び、韓国でケーキを作る


by チョン・ヒョンチュル(韓国)

 私は日本の東京製菓学校で洋菓子の作り方を学んだ。とても厳しい学校で、髪を染めることも禁止、出席率が90%に満たないときは退学になった。89%だった学生が卒業できなくて、結局、1年留年させられた。当時、留学生は36人ぐらいだったが、現在では100人以上もいるそうだ。

 現在、ソウルの洋菓子店で働いている。韓国では日常的に洋菓子を買って食べることはまだまだ少ない。ほとんどが誕生日、クリスマス、あるいはプレゼント用だ。韓国では果物が新鮮でとても安い。だから食後のデザートなどにケーキを食べることはほとんどない。

 また洋菓子の好みも違う。韓国で成功するためにはヨーロッパや日本の菓子をそのまま作っても駄目だ。ゼリー類は全くと言っていいほど売れない。たぶんゼリーの原料が果物だからだろう。果物をトッピングしてあるケーキも人気がない。焼き菓子などにドライフルーツを入れた物も同じだ。それよりナッツ類が入っているほうが好みだ。またシナモンやさまざまな香りの好みも違う。抹茶も使うがどこにどのように使うかで売れるかどうかが決まる。毎日、研究しながら作らなければならない。

 製菓学校の先生からも助言されたことがある。学校ではオリジナルのケーキを作る。そのときに先生が「韓国人なんだからもっと韓国人らしいケーキを作らなきゃ」と話してくれた。帰国してからも、ケーキに使う材料などで相談にのってもらったこともある。

 洋菓子のレベルは日本と比べるとまだまだだと思う。一番の原因は材料だ。韓国には菓子の材料を輸入する業者が2つぐらいしかなく、また輸入する物も中程度の品質がほとんどだ。もちろん、有名なホテルなどは直接輸入しているので問題がないが、個人の商店などが使う材料は限られてしまう。その中でいい洋菓子を作るのは難しい。

 技術的な問題もある。そこで業界はヨーロッパや日本から有名パティシエを読んで、講習会をして少しでもレベルを上げようと努力している。

 年に何回か日本へきてケーキを食べ歩いている。その上でオリジナルケーキの研究をしている。今、店で売っている中に1つ10万ウォン、日本円にして1万2000円もするケーキがある。4種類1個ずつしか作らない。とても高いにもかかわらず店の人気商品になっている。私の自慢のケーキである。
(December 2007)