日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
space
| 58 孔文慧 | 戻る back <<

孔文慧さん

中国で勉強、日本でのんびり


by 孔文慧(中国)

 孔文慧ちゃんは小学校1年生です。今年の3月に中国からやって来ました。実は文慧ちゃんは4歳の時に1年間日本で暮らしたことがあります。お父さんとお母さんが2人とも日本で働いていたのです。それまでおじいちゃんおばあちゃんと暮らしていました。(文責・北嶋千鶴子)

 初めて日本にやってきた4歳のとき、民間の保育園に行くことになりました。保育園で困らないように、お父さんが「トイレ」「のどがかわいた」「お腹がすいた」の3つを教えてくれました。けれどもそれ以外の日本語は何も知りません。中国では先生が特別にかわいがってくれて、抱いてくれたり抱きしめてくれました。しかし日本の小さな保育園は、生まれたばかりの赤ちゃんから6歳ぐらいの子供まで1つの部屋にいて、先生たちは赤ちゃんの世話で忙しかったので、ほとんど構ってくれませんでした。そのため1日中、泣いてばかりいました。時々「泣かないで」と言ってくれた子供がいましたが、それでもひとりで泣いていました。

 公立の保育園に変わってから少しよくなりました。でも相変わらず日本語ができないのでなかなか友達ができません。ときどき先生が一緒に遊んでくれたからよかったです。

 日本語は2か月ぐらいで何となく分かってきて、4か月ぐらいで少し話せるようになりました。約1年日本にいましたが、帰る頃には日常会話は理解でき、だいたいのことは話せるようになりました。

 中国に帰って幼稚園に通いました。幼稚園と言っても日本の保育園と同じです。中国ではほとんど共働きですから、子供たちは夕方まで預けられています。そこでは国語、算数、英語を教えてくれました。1年間そこで勉強したのでいろいろなことを覚えることができました。でも日本語はすっかり忘れていて、日本人の友達と会ったときにはほとんど話せず、中国語で話していました。

 そして今年の3月、両親のいる日本へ戻ってきました。4月から小学校に入るためです。日本語はあっという間に思い出して話せるようになりました。勉強もほとんど幼稚園で習っていたことだったのでよくわかりました。国語も「あいうえお」から一緒に習ったのですぐにできました。勉強が簡単で宿題もないので、中国のおばあちゃんはとても心配しています。勉強が遅れないように中国の算数のドリルを持って日本にやって来ました。今年の夏休みは毎日おばあちゃんに勉強させられました。

 学校は最初の1か月は友達ができなくてつまらなかったです。今では友達も5,6人できて毎日楽しいです。お父さんもお母さんも「子供は日本でのんびり育てたい」と言っているので私はこのまま日本で暮らすと思います。
(October 2007)