日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
space
| 168 アサンカルィーエフ・ダスタン | 戻る back <<
 

草食系? 肉食系?


 アサンカルィーエフ・ダスタン (キルギス)

Dimitrova
アサンカルィーエフ・ダスタンさん

 去年は、2つの弁論大会に出場することができました。タシケントで開催された中央アジア日本語弁論大会とモスクワの学生日本語弁論大会です。どちらの大会でも、女性が大活躍でした。タシケントでは入賞者5人のうち4人までが女性でしたし、モスクワの大会では出場者20人のうち、男性はキルギス代表の私とアゼルバイジャン代表の、2人だけでした。自信に溢れた力強い女性たちに、私は圧倒されてしまいました。

 最近、女みたいな男が多くなった、とよく言われます。例えば、昔は女性がするものだと思われていた仕事を男性がするようになりました。女性が外で仕事をして、男性が家の事や子育てをする家庭もあります。女性ドライバーが増えました。男性用の化粧品がよく売れています。実際、女性のような化粧をした男性も見かけるようになりました。男のくせにとか、女のくせにとか、まだまだ批判する声の方が大きいようです。

 「男性が頼りにならないせいで、離婚率が高くなり、いっそ、結婚しない方がいいという女性が増えた。だから、男性はどんどん元気が無くなって、女性はますます強くなっていく。これは大問題だ…」、そう言って嘆く人がいます。

 日本にも同じような問題があるそうです。男らしさとか、女らしさの考え方が変わってきていると聞きました。「草食系男子」とか「肉食系女子」という言葉もあるそうですね。「男性が草食動物のようにおとなしくなって女性化し、女性が女らしさを失って肉食動物のようにたくましくなってしまった」と、あまり良くない意味で使われているようです。

 甘えん坊だった私の子供の頃の夢は、なんでもできるお嫁さんを5人もらうことでした。働くのはお嫁さんたち、私は何もしないで毎日遊んで暮らしたい、と思っていました。息子の「将来設計」は、母にとって衝撃だったようです。私は、母に叱りとばされました。母に怒られても私は「いやだ! 何もしたくないよお! 勉強なんてしない! 働きたくなんかないんだ!」と言い続けました。無邪気だったというより、本当のバカですね。最後は母に「家族のためにしっかり働けないで、どうするの?! 家族を守れない男のところにお嫁さんなんか来てくれるはずないでしょ!」とトドメを刺され、泣き出してしまいました。

 21世紀には男性と女性の役割が変化して、昔は男性の仕事だと思われていたことを女性がどんどんする時代になっていくでしょう。女性が活躍するようになると自信を失う男性もいるかもしれません。でも、昔から女性は家族の中で一番大事な役割を果たしてきたのです。私の家族も、大事なことを最後に決めるのは父ですが、父のアドバイザーはいつも母です。なんでも母に相談してからでないと決めてしまうことはできないようです。

 私の今の夢は、日本語を通じて運命の人に出会うことです。私も父と母のように、家族の将来のことも、パートナーとしての役割についても、いつも運命の人と相談しながら考えていきたいです。野菜だけでもなく、肉だけでもなく、2人のバランスが大事だと思うからです。
(2017年6月3日掲載)