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びっくりした日本の話す機械


 ドゥレーシカー・ウダヤンガニー (スリランカ)

Dimitrova
ドゥレーシカー・ウダヤンガニーさん

 先日、日本で二日間のホームステイをした。ホームステイの家族はお母さんとお父さんと長男と次男だった。最初の日は晩御飯の後、家族の皆とテレビを見ながら話していた。突然、台所のほうから女性の声が聞こえて来た。「お風呂が沸きました。」その時うちにいた女の人は私とお母さんだけだった。「それは誰だろう。」私は驚いた。お母さんに聞いてみるとそれは家のお風呂だった。お風呂が話していた。日本のお風呂はお湯が沸くと教えてくれるのだ。忙しいお母さん達にも、物忘れをするお年寄りの方にも大変役に立つのではないかと思った。そのように話してくれるのはお風呂だけではなかった。

 次の日、日曜日はお母さんとお父さんと車で池袋にある水族館に行った。車も話していた。「少し休みませんか。」ずっと運転していたおとうさんのことを心配してくれたようだ。運転手達がすごく疲れているときに眠くなって事故を起こす可能性があるから、それを少なくするようにこのような機能が設定されているようだ。

 次に、セルフガソリンスタンドに行った。日本では一人でもガソリンを入れることができるのだ。不思議だ。スタンドも話していた。「いらっしゃいませ」、「キャップを忘れずにお閉めください。」キャップを忘れるとガソリンが無駄になるから教えてくれるのかもしれない。次に駐車場に行くと入り口の駐車券を発行する機械も話していた。「駐車券をお取りください。」と親切に教えてくれた。日本のスーパーはお金を節約しているということだ。一度お金を払って機械を買ったら毎月人に給料を払わなくてもいいからだ。

 ずっと歩いてのどが渇いていたので自動販売機でジュースを買おうとした。「いらっしゃいませ。冷たいお飲み物はいかがですか。」お店に入ったような気がした。お客さんの飲みたいという気持ちを高めているようだ。日本の自動販売機は購入するときの挨拶はもちろん、時間帯や季節、クリスマスや年末年始などの歳時に対応したメッセージまでおしゃべりしているようだ。いつも同じことを話しているとお客さんが飽きるので細かいところまで工夫しているのではないかと考えた。さらに、昨年登場した 愛媛県の伊予弁も加えると12種類の方言でおしゃべりしてくれる自動販売機が各地域に設置されているようだ。また観光客が多く訪れる地域には英語、ポルトガル語、中国語、韓国語の4ヶ国語をしゃべる自動販売機が設定されているようだ。それに、自動車工場などで勤務するブラジル人従業員のためにその工場があるところにはポルトガル語バージョンの自動販売機もあるそうだ。その以上には神社の神主さんの声でオシャベリする神社設置のおしゃべりな自販機もあるそうだ。ここでは特に感じたことがあった。日本では時々子供のお客さんが店に来たとき、大人のお客さんに対するような丁寧語で話してあげない店員さんも見られる。しかし先ほどの自動販売機はお客さんが誰であっても何歳であっても女性でも男性でも関係なく平等に話してくれるからすばらしいではないかと考えた。

 二日間のホームステイを終えて部屋に帰った。よく考えてみると今まで気がつかなかったのだが、部屋の暖房も、銀行でお金を下ろしているATMマシーンも近くのAEONのエスカレーターも、エレベーターも今まで親切に教えてくれたのではないかと思った。いったいどうして日本の電気製品はこのように話してくれるのか。よく考えてみると日本人のようにその機械もお客さんのことを大事にしているのではないだろうか。その機械を作った日本人は、機械を通して普通の人々にも目が不自由な人にも生活しやすい環境を作るために頑張っていたのではないかと思った。日本というのは誰にでも暮らしやすい国だということが分かった。
(2017年1月28日掲載)