日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
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日本の一日目


 Michael Buder  (Canada)

これは僕が28歳のときの経験である。僕は日本に行く前、日本人の親切さについていろいろ聞いていた。でも僕自身がそれを体験できるとは思っていなかった。驚いたことに僕は日本に着いた最初の日に日本人が親切なことを体験したのだった。

 成田から日暮里、そして山手線で池袋へ。僕は疲れて混乱していた。池袋駅は広くて混んでいて、まるで迷路のようだった。以前東京に住んでいた友達が僕に地図を描いてくれていたけどそれは不十分なものだった。それで僕は2つの大きなバッグを抱え駅の中で立ちすくんでいた。僕は大泉学園駅へ行かなければならないことはわかっていたけど、どう行けばよいのかわからなかった。そのとき突然ビジネススーツを着た男の人が近づいてきた。彼がお酒を飲んでいてアルコールの匂いをさせていたので僕はちょっとびびってしまった。かれは僕にちょっと変な英語で「どこ行くの」と聞いた。彼は酔っ払っていたけれど、僕は彼が僕を助けてくれようとしているのを知って安心した。

 僕は地図を見せてここへ行かなければならないと教えた。地図を見てそれを僕に返すと、大泉学園に行こうと言った。そして僕のバッグを一つ持って歩き始めた。僕は残りのバッグを持ってあわてて彼を追いかけた。彼の行動に驚いたけれど、躊躇なく彼を追いかけた。助けてもらって安心したのだった。

 切符売り場に行くと、彼は僕の切符を買ってから改札口を通って行った。電車は仕事を終えたたくさんの人でとても込んでいたので僕たちはず〜と立っていた。乗っている間に彼が英語の勉強が好きだったことや池袋の会社で働いていることがわかった。彼は石神井公園に住んでいると言った。石神井公園は大泉学園の一つ前の駅だったが、彼はそのまま電車に乗って大泉学園までついて来てくれた。僕はとても驚いた。

 この親切な男の人は、僕がお金を払おうとしても受け取らなかった。彼は僕を助けたことで満足しているようだった。僕は彼に感謝し、僕たちはさようならと言って別れた。彼は自分の駅に行くために反対側のプラットホームのほうへ歩いていった。僕は二度と彼に会わなかったが、彼の親切を決して忘れないだろう。
(了)
(2016年2月21日掲載)