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日・タイのあいさつ


 ケオフォンランシィー,ペンポーン (タイ)

 あいさつは何のためあるのかについて私は考えたこともなかった。まだ外国に行ったことがない時には自分の国のあいさつは普通なものだと思っていた。しかし、日本やイギリスに行ったり、外国人の友達ができ始めたりしてから、自分の国と違う文化と出会えて、私の考え方は変わった。だから、母国のタイのあいさつをもっと観察し、他の国のあいさつについても考えるようになった。

  あいさつとは人間同士が顔を合わせるときに最初にお互いの姿を確認するためのものであった。言葉や身振り、あるいは両方で互いに相手の存在を認めた行動をするのである。

 ところで、日本のあいさつは「お辞儀」で、タイのあいさつは「ワイ」と言う。まず、日本のお辞儀について見てみよう。「お辞儀」と言うあいさつは日本人として職場やご近所づき合いなど、人間関係を作るために欠かせないあいさつだ。

  お辞儀は大別すると3種類に分けられる。それぞれは違いがあって、状況によって使い分けられなければならない。一つ目は「会釈」である。「会釈」とは15度頭を下げて、上司やお客さんとすれ違うときなどに使うお辞儀である。次は30度で頭を下げる「敬礼」で、最も頻繁に使われるお辞儀で、お客さんを迎えるときや訪問先などで使用するものである。最後は「最敬礼」というお辞儀で、敬意や謝罪の意を表わす時に使用する丁寧なお辞儀である。日本人はこの3種類のお辞儀であいさつをしている。また、あいさつの言葉も4つある。それは「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」と「おやすみなさい」である。それぞれ時間に合わせて使われている。

  では、タイのあいさつについても考えてみよう。タイのあいさつは「ワイ」と言う。「ワイ」は両手を合わせて、相手によって手の位置を決めるあいさつである。「ワイ」は相手によって3種類に分けられている。一つ目は一般の人、自分と同じ立場、友人などの相手に使うものである。これは合わせた両手の親指が顎に、人差し指を鼻に置くあいさつである。次は尊敬している人に対してあいさつするもので、例えば、両親、おじいさん、おばあさん、先生などである。このあいさつは合わせた両手の位置が違っている。親指は鼻に、人差し指が眉毛の間に置くものである。このあいさつは社会人であれば、たくさん使われるあいさつだと思う。そして、最後にはお坊さんや仏様などに対して使われているあいさつである。このあいさつは尊敬を最大に表わすあいさつの仕方である。この場合は合わせた両手の親指を眉毛の間に、人差し指を額のところに置く。タイ人は仏様やお坊さんに対して、とても尊敬している文化になっているので、この様なあいさつはタイに行ったら、よく見かけるものだと思う。

 また、タイの言葉のあいさつも日本語のように時間に合わせて言うあいさつの言葉もある。タイ語では4つの種類に分かれていて、「おはようございます」は「アルンサワット」、「こんにちは」は「サワッディ」、「こんばんは」は「サーヤンサワット」、そして、「おやすみなさい」は「ラートリーサワット」である。 しかし、タイ人はこれらのあいさつを全部は使っていない。それは、言葉が長いので、あまり使わなくなったのかもしれない。殆どのタイ人が「サワッディ」というあいさつの言葉を使っている。

  このようにタイと日本のあいさつは似ているところもあり、違っているところもある。同じアジアの国だからだろうか、共通点はいくつかあった。それは、あいさつの使い方や表わす意味がとても似ているというところである。それに、タイも日本も相手に対する尊敬をとても大切にしていることや時間と合わせてあいさつの言葉を使っていることも同じだと分かるようになった。

 しかし、あいさつ言葉の場合はタイ語と日本語は同じようなものもあるが、タイの場合は「サワッディ」というあいさつ言葉だけがよく使われている。一方、日本語はすべてのあいさつの言葉を使っているのである。今回初めて自分の文化と日本の文化を比較した。このような比較観点から自分と同じものや違っているものを見つけてとても面白かった。やはり、人間は自分ばかりを見るのはよくないと思う。自分の周りや他人のことを見比べることで、自分のいいところが見つかるのかもしれない。
(了)
(2016年1月18日掲載)