日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
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私の留学生活 (中)


 N・S (日本)

−短大ではアメリカ人と一緒に授業を受けたんですね。
N:ええ。

−じゃ、大変だったでしょう。
N:ええ大変でした。教養学部みたいなところで勉強しましたが、自分の好きな物を選んでいいんです。

−で、授業はどうでしたか。
N:その時点で一生でこんなに勉強したことがないと言うぐらい勉強しましたね。毎日2〜30ページ読んでこいとか宿題が出ましたから英文を読むのが大変でした。

−それ一科目ではないから大変ですね。
N:ええ、でも噂で点が取りやすいという課目を取ったりしました。数学などはあっちでは計算機を使ってもいいし、日本では苦手でしたが案外簡単でした。

−そうですか。
N:計算機なんか日本のとは違って画面が広くてそこに式があって数字を入れるだけでいいんです。反比例の表などを勝手に作るんですよ。

−へえ。
N:だから大体式の解き方が分かっていれば式もあるし、数学は直ぐに解けちゃうんですよ。

−日本のレベルと全然違います。大学でそのレベルですから。
N:社会学とか人文系はすごく面白かったです。

−どうして。
N:いろんなカルチャーがミックスしている国だから、日本人ぽい視点で見ていないというか、学生も色々な人がいるからいろんな意見が飛んでくるし、まだアメリカのことも知らない時期だったし、エキサイティングしてとても面白かったです。

−あなたも意見を言ったんですか。
N:ぽか〜んとして見ていました。例えば人類学でゲイとは何かなどという授業の時、実際にその人が来るんですよ。レズの人が来て自分の体験を話してくれたときは衝撃が大きすぎてなんてところだと思いました。アメリカって宗教的に同性愛に神が反対すると信じているので、本人にあなたは神に逆らっているってわかっている、みんなが許しても私は許さないわと糾弾したりするんです。そう言うのを見ていて同性愛や宗教のことでびっくりしてしまって。

−結構具体的なんですね。実際に会ったり見に行ったり。
N:そうですね。また話す方も聞く方もストレートなんです。本当に勉強しようと思ったら面白いんじゃないかと思って。心理学の授業でもチームでテーマを決めて心理学を使った実験をしてこいとか。

−そう言われたら困るわよね。
N:ええ、例えば立派な格好をして買い物に行ったときとぼろぼろの服の時のお店の人の対応を調べて発表したりするんです。

−楽しいわね。
N:そうそう、楽しいんです。勉強というより本当に社会勉強しに行っている気がしました。文化自体を学びに行っていると感じでしたね。

−2年間勉強したんですね。
N:いいえ、1年半ぐらいで卒業しました。みんなそんなもんですよ。夏休みも授業を取る人も多いですから。でも人によっては2〜3ヶ月は授業を取らないでバカンスや地元に帰る人もいます。

−へえ、そうですか。短大の時は寮に住んでいたんですか。
N:寮はなくてホームスティしていました。最初は黒人のファミリーで次はフィリピン人の家族で、それから友達と2人で住みました。

−アメリカ全体の印象はどうですか。
N:楽しいけど一生住むのはどうかなと思います。

−そうですか。差別されたことは?
N:私はなかったです。

−よかったですね。じゃ住みやすいんじゃないですか。
N:子供は住まわせたくないです。判断能力があればいいんですが、怖い物がおおいですから、例えば銃とか麻薬とか暴力とか…日本よりそう言う物に触れる機会が多いですから。よほど強い人じゃないと流されて駄目になってしまいます。常識がない人もいるし、ゴミの分別もないし。

−分別しなくていいの。
N:ええ、瓶ぐらいは分けていると思いますけど。私が行ったところは全部そうでした。その言い訳がいろんな国の人がいるので守らせるのは難しいって言うんです。銃も同じだと思うんですよ。最初がゆるいからもう規制できないと思うんです。

−銃を見たことがありますか。
N:見たことはないんですが、ホストファミリーはベッドルームにあるよって言っていました。知り合いも「絶対に持つべきだ。誰が守ってくれるんだ」と言って絶対に曲げないんです。私には理解できないんですが。

−私の教え子は誰も持っていないし、その中の一人は銃反対キャンペーンをしていますよ。
N:ある田舎の村で犯罪が多いから条例で銃を持たなければならないそうですよ。

−外部から来た人から守るという意味ですか。
N:そうです。理解できませんが。

−そうですね。いろいろ体験した留学生活でしたね。
N:はい、本当に行ってよかったです。 (続く)

(2015年5月25日掲載)