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OLにっぽん


 サリカ (インド)

ランディカ・ジャヤミニ
サリカさん

 日本の満員電車のなかでおしゃれな洋服をきた携帯電話に夢中の、30代のOLを目にすることは多い。職場で丁寧にお茶を入れる、会議資料をコピーする、完璧にメモを取る、会社にきた外国のお客様を社内案内する、OLさんは毎日忙しい。OLは日本の会社にとって欠かせない存在ではないだろうか。

 OLとは企業の補助的な業務を担当する一般職の女性社員もしくは女性事務員を指す語である。元々は日本で作られた言葉であるが、日本文化の影響を受けている香港や台湾においても使われることがある。ただし、日本ではOLと呼ばれることを拒む女性も多く雇用上の男女平等が叫ばれるとともに使用が減っている。

 このレポートを書くに先立って日本女性2人インタビューした。一人はHさんで、最近横浜にある会社の事務で経理に関しての仕事をしている。Hさんは独身でお母さんと一緒に実家に住んでいる。もう一人は36歳のカフェオーナーSさんで、元OLである。二人の子供とご主人とマンションに住んでいる。このレポート作成にあたってHさんとSさんにOLさんの一日、休日と週末の過ごし方、化粧品と洋服に対しての魅力、将来の計画についていくつかの質問に、自分のOLとしての経験に基づいて答えてもらった。

 OLさんの仕事はなんだろうか。職場でどんな問題に直面するか。日本のOLはだいたい正社員だ。固定労働時間制で朝9時から夜7時までだ。柔軟なシフト制の仕事もあるそうだ。OLの間で残業はあまり好まれていない。決まった時間に帰ったほうがいいという考え方がある。日本ではOLの仕事が見下されているそうだ。OLの仕事はお茶を入れる、プリントをする、電話に出てメモを取るに限られていると言う。

 OLは実家に住むので家事は自分でせずに母と妹や姉に任せることが多い。家事ができないというよりしたくない、そして時間がないという理由がある。Hさんも家事はあまり好きではないが、週末、祝日や休みの日は必ず家事を手伝う。

 OLさんの間で大人気の化粧品についてHさんとSさんに聞くと、化粧品は日本女性特にOLさんにとっては欠かせないものだと言われた。日本は最先端のファッションの国として有名だ。OLにとって化粧品は何よりも必要とされている。職場でナチュラルメイクぐらいしたほうがいいとSさん思う。Hさんによるとブランド物に限らずおしゃれな洋服、ファッションアクセサリー、色々な化粧品がOLの間で大人気だ。目が魅力的に見えるようにファッションアクセサリーとしてアーティフィシャル涙袋まで使うOLもいると聞いて驚いた。

 OLの間で合コンがすごく流行っているそうだ。結婚相手を見つけるためのいい方法だと思う女性が多いし、ただ仕事の疲れを取るための方法と思っているOLさんもいる。Hさんにとって合コンはただ結婚相手を見つけるための方法のみならず仲間と親睦を深める、そして楽しい時間を過ごすためにも行う。日本では週末に一回合コンに行く傾向が見られる。

 Hさんに週末の過ごし方について質問すると、合コン以外に週末は友達と遊んだり映画を見たりコンサートや温泉に行ったりすることが好きだといわれた。
学歴そして資格について聞くと、基本的にOLの仕事のため高学歴は必要ではないということがわかった。日本では高校を卒業してからすぐ働き始めて24〜26歳になったら仕事をやめて結婚する女性は多い。28歳になったら他の同僚そして上司からの厳しいプレッシャーに堪らなくて仕事を辞める、またはむりやりに仕事を辞めさせられることもある。30代を超えたらOLの仕事ができなくなると思われる。OLの場合は昇進と昇任のチャンスもあまりないのでキャリアアップのため資格を取る、外国語を学ぶOLは少ない。

 Hさんに将来の計画について聞くと、自分の将来について不安を感じるそうだ。給料はだいたい日常生活のためまたブランド物を買うために使ってしまいあまり貯金もできない。家族からもいい相手を見つけて早く結婚して親をらくにさせてくれというプレッシャーもある。しかし今は自分の親の世代より満足して充実した生活を送っていると思う。結婚しない人生を選ぶOLさんの数が最近増加しているそうだ。

 日本では職場でセクハラの問題があるが、女性を守るために政府そして企業もいろいろな対策を計画する。女性のエンパワーメント活動は日本ではあまり見かけないが、職場で女性のプライドが守られる。

 日本とインドの働いている女性の生活を比べてみると、インド女性は仕事そして家事両方のバランスをうまく取らなければいけないと思われる。インドの場合は働く女性は家族の面倒もみなければならない。社会人で実家に住むことは問題がないと言える。化粧品の使用はあまり流行っていないが、多国籍企業で働く女性にとってきちんとした服、化粧が欠かせないものだ。結婚してから仕事を続けるのは難しそうだ。家事そして子育ては女の責任だと一般的に考えられている。日本のような育児も家事も仕事もうまく手分けして、楽しく暮らす家族はインドには滅多にない。インドの場合はOLは暇な時間を家族と共に過ごすことが多い。女性は大体経済的に男性に頼る傾向がよく見られて、あまり貯金しない。日本のOLはインドの働く女性と比べて経済的に自立しているようだ。インドの場合は職場での屈辱とセクハラの問題はもっと深刻だと考えられる。

 日本のOLは職場の花で実家暮らしの貯金ゼロ独身女性というマイナスイメージはあるが、女性の地位向上とともにこのイメージがだんだん変わっているそうだ。今までテレビドラマだけで見た日本のOLさんに会ってインタビューして、今まで持ったOLさんのマイナスイメージが変わった。社内で自分の存在を守るため頑張っているOLさんの姿をみると、なんとなく自分も頑張らなければならないと思うようになる。自分の将来について不安を感じるが、「今」を生きて行くよと思っているHさんの姿をみると、言いたくてたまらない「頑張れOLにっぽん」。
(2014年8月21日掲載)