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エジプトの生活と日本語 3


 Ehab Ahmed Ebeid (エジプト)

−お葬式はどうですか。結婚式のように大事でしょう。

Ehab:そんなに大事ではありません。亡くなったら直ぐに埋葬しなければなりません。

−24時間ぐらい経ってからですか。

Ehab:いいえ、24時間以内に埋葬します。早く埋葬することが亡くなった人に対する礼儀だと考えるからです。ですから、遠く離れている子どもは親の顔を見ることができないこともあります。

−土葬ですか。

Ehab:はい、そうです。一族の墓に埋葬されます。

−じゃ、お兄さんの家族も一緒ですね。

Ehab:はい。とても大きい墓ですから。私は兄と一緒になりますね。

−次々と全員そこに埋葬するからですね。

Ehab:ただし、連続で不幸が続いたような場合は違います。お墓は埋葬してからある程度時間が経たないと開けることができないからです。私の父親が亡くなって1ヶ月半後に母親が亡くなったんです。それで母は最初同じ墓に入らなかったんです。父親のお兄さんの墓に入ったんです。こういう場合は後から同じ墓に移すんです。土葬ですからこういうことが起きます。

ピラミッド
【写真は、エジプトの風景】

−日本も以前は土葬でしたが、土を掘って埋葬しますから、おじいさんはここに埋めたからおばあさんはこっちに埋めよういう風にしていました。ですから直ぐに亡くなっても同じお墓に埋葬していましたよ。

Ehab:エジプトは土に埋めるのではなくて、墓は階段がある地下室のようなものです。ですから一定の時間が経たないと開けることができません。地下室に遺体を置いてそこに土をかぶせてあるんです。

−お葬式、日本と違うところがありますか。近所の人がみんな来るんですよね。そのときに食事などを出すんですか。

Ehab:基本的には飲み物だけです。それもコーヒーのブラックだけです。砂糖を入れるのは華やかなイメージです。全てを地味にするために何も入れないのです。日本では葬式の時に真珠の首飾りをしますが、二重にしないですね。

−そうですね、二重にすると重なるから。不幸が重なるといって嫌がられるんですよ。

Ehab:そうですね。食べ物ですが、親戚の人たちはショックで何も食べられない状態ですが、その人たちのために誰かが食事を作ってくれるんです。近所か親戚の誰かが作ります。

−それは昔の日本と同じです。近所の人が料理してくれました。それでお葬式の時はお金などを持っていくんですか。

Ehab:一切持って行きません。親戚の人も持っていきません。

−じゃ、その家の人は困りますね。

Ehab:でも葬式にはそんなにお金をかけないから大丈夫です。それにエジプトではお金を出すのはいつも嬉しい時ですから、出産の時とか合格の時などにもお金を出します。反対に葬式は悲しいことだからお金は出しません。

−じゃ、引っ越す人にもお金をあげないですね。隣の人が引っ越して嬉しいというわけにいかないでしょう。

Ehab:あげないですね。それから日本ではお葬式の時に花をあげますが、花はお祝いのイメージがあるのであげないですね。葬式は儀式に参加することがメインです。遺体を自宅からモスクに移します。モスクにはイマームという牧師さんのような人がいます。そのイマームが礼拝を執り行います。そして墓地に向かいますが、埋葬している間にまたイマームが人生のはかなさなどについて説教をします。葬儀に参加した人たちが遺族に握手して帰ります。それから3日間、遺族は家の前の椅子に座って葬儀に参加できなかった人が挨拶に来るのを待っています。家の中に入ってもらわないのはものすごく多くの人が来るからです。訪問者が多すぎて家の中にとても入れないのです。飲み物はコーヒーのブラックだけを用意しておきますが、ほとんどの人は飲み物を飲んでいる場合じゃないといって飲みません。その後毎年家か式場で法事をする人が多いです。やる場合は夜の8時から始めます。そのときもコーヒーを飲むだけです。当日の朝に日本で言うような墓参りに行って夜8時から法事を始めます。

−行事は何でも夜やるんですね。

Ehab:いいえ、葬式は亡くなった人に合わせます。とても暑い国ですし、亡くなった人はすぐに次の世界に行かなければならないからです。

−8時からの法事ではお腹がすいてしまいますね。

Ehab:ええ、食べてから行くか終わってから食べます。できるだけ地味に。

−そうですか。やはり気候が違えば文化も生活様式も違ってくるものですね。もっといろいろお聞きしたいんですが、今日はいろいろ興味深いお話ありがとうございました。また、お願いいたします。(了)
(2013年5月25日掲載)