−Kさんは現在シェアハウスに住んでいますが、このような暮らし方に慣れていますか。
K:ええ、ニュージーランドでもアメリカでもシェアハウスに住んだことがあります。
−そのような住み方をする中で、難しいことはどんなことですか。
K:そうですね。ニュージーランドで3人で暮らしていたときのことですが、韓国人の女の人が全然片付けや掃除をしなかったのです。いい人なんですが、いくら言っても駄目でした。食器を洗わないで置いておくので、結局こちらが洗ってしまいます。お風呂に入った後、掃除するという決まりがあったんですが、その子は一度も掃除しなかったですね。話すと、「ごめんなさい。これから、ちゃんとするから。」言うんですが、決してしないんです。
−どうしてでしょうか。お嬢様でそんなことをしたことがないんでしょうか。
K:なぜだかわかりませんねえ。
−ニュージーランドには英語を勉強しに行ったわけですが、どの方法が一番有効でしたか。
K:「シャドウイング」っていう聞いた通りを繰り返して言ってみるという勉強方法がよかったと思います。でもネイティブのスピードについて行けなかったので最初はゆっくりしゃべってくれるのを聞いて勉強しました。段々慣れてきたらドラマなんかをやるようにして、何回も見て練習しました。
−前から英語が得意だったんですか。
K:英語が好きだったんです。小学校で、当時は教科ではなかったんですが、3・4年生だったと思うんですが、週に2回アメリカ人のアシスタントの先生に教えてもらいました。ほとんどわからなかったんですが、その年、「白雪姫」の英語劇をやることになりました。私は魔女の役でした。意味もわからないまま、聞いたとおり覚えろって言われて、それをやったのが楽しかったんです。それから英語に興味を持ったんです。それに白雪姫なら話を知っているじゃないですか。英語だとこう言うんだなってなんとなくなくわかりました。
−塾とかで習っていなかったんですか。
K:ええ、全く。小学校の先生はスローン先生っていったんですが、授業は歌を歌ったりして、とても楽しかったんです。それが外国人に出逢った最初の経験でしたし。
−高校ではどうでしたか。
K:がちがちの進学校だったんで、受験英語でしたね。でもそのときの英語の先生がとてもいい先生だったんです。友だちと二人、授業とは別に課題を出してもらって、英文を作っていました。週に一回添削してもらっていました。
−それはよかったですね。
K:そうですね。高校時代といえば、交換留学生に応募したかったんですが、うちの学校はもしこちらから行ったら誰かを受け入れなければならないから…それはできないと言われて…結局、駄目だったんです。それがとても悔しくて、それで卒業したら絶対行ってやるって思いました。
−それでニュージーランドに行ったんですね。行ってからはどうですか。
K:着いたら迎えに来てくれた人がタクシーの運転手さんでした。学校の名前を行ったら「OK.OK」と言われたんですが、着くまでとても不安でした。
−とりあえず無事でよかったですね。学校の授業はどうでしたか。
K:受験で文法を勉強していたので最初上のクラスに入れられちゃって、でもしゃべれないので下のクラスに変えてもらいました。上のクラスはヨーロッパの人が多くてぺらぺらしゃべっているので、ついて行けなくて。その後は大丈夫でした。語学学校だったし会話コースを選択したのでそんなに難しくなかったです。
−いろいろな国の人と友だちになったでしょう。日本人とは違うなと思いましたか。
K:違いますよ。日本人は授業中静かに聞きますね。他の国の人は先生とも友だちのように話すし、よくしゃべるんですよ。下がったクラスはアジア人が多かったんですが、その後、上げてもらったクラスはヨーロッパ人が多かったです。ヨーロッパの人は年下でも大人だなあと感じました。自分の意見があって必ずそれを言うんです。討論のときも理詰めで言ってくるんです。こちらはああそうかってなってしまいます。
−ニュージーランドでショックだったことがありますか。
K:ええ、裸足で歩いている人がいるんですよ。上は普通のかっこうしているんですが。マウイ族というわけでなく白人の人も裸足で歩いていました。北ニュージーランドに住んでいたんですが、ウエリントンという首都も本当に小さくて歩いて回れるぐらいでした。私が住んでいたところは自転車も要らないぐらいのところでした。
−ニュージーランドの人はどうですか。
K:とても親切です。道がわからないで地図を開いていたりすると、直ぐに「どこに行くの」とか聞いてくれます。そんなことがたびたびありました。ある時荷物を送ろうと運んでいたら、多分重そうに見えたんだと思いますが、最初、おじさんが「大丈夫か」と聞いてくれたんですが、怖そうだったので「大丈夫」と言って断りました。次におばさんがカートみたいな物を持ってきてくれて「これで運びな。あとで返してくれればいいから」と言ってくれました。本当に親切なんです。
−人間が少ないから大事にしてくれるんでしょうか。羊の方が多いとか言いますからね。
K:本当に羊が多いんですよ。休みの日に友だちとバス旅行などをしているときに突然バスが止まったのでどうしたのかと思ったら、羊が横断しているのでバスが動けなくなってるんです。ちょっと行くと馬、牛、豚などもいるし、自然がいっぱいです。
−住みやすそうなところですね。
K:ええ、電気も水力や風力を使っていて原発もないそうです。それでも電気料金は日本より安いと思います。自然が好きな人にはとってもいいところです。私、すごい渓谷でバンジージャンプをやってみました。
−すごいですね。よくやりましたね。
K:やっぱり、せっかくニュージーランドに来たんだからやらなきゃって思って。
−そうですよね。ニュージーランドってのんびりしたイメージですね。バスものんびり走っていて。
K:乗客が乗り降りするときに運転手さんに挨拶するんです。運転手さんが陽気なときはずっとしゃべっているんです。私は田舎で育ったのでそういう風景を見ると落ち着きました。
−ホームステイ先での生活はどうでしたか。
K:食器は食洗機で洗っていましたし、水は豊富でした。冬に行ったんですが、暖房設備がなくて部屋に小さな暖房器具を付けてくれたんですが、それでも寒くて。その器具はあまり電気代がかからないからいいんだと言っていました。電気代は結構気にしていました。食事はおいしかったのでよかったですが。ホームステイといっても家族がいない独身の女の人が知り合いの男の子と私の3人で住んでいただけです。ときどき恋人が来ていましたが。契約が3ヶ月だったのでそこに3ヶ月いた後は知り合いの日本人と一緒に暮らしました。お金さえちゃんと払えば外国人にも部屋を簡単に貸してくれますからよかったです。(続く)
(2013年1月15日掲載)