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オーストラリアで手術したら


 OM(日本)

−OMさんはご主人の定年後オーストラリアで暮らされて5年ほどだそうですね。最近シドニーで手術なさったと伺いましたが、外国での手術は心配ではありませんでしたか。

OM:胆嚢を取るだけでしたし、こちらの生活に慣れていたので軽く考えていました。実際にはあまりにお金がかかったので驚きました。それに手術代を前払いしなければなりませんでした。

−でも保険はありますよね。

OM:ええ、それにプライベートの医療保険にも入っていましたが、私の場合45%ぐらいしか戻ってきませんでした。また驚いたことに麻酔代として確か1280ドル、後から請求がきました。麻酔科は病院の医者ではありませんから。

−請求が別なんですか。

OM:ええ、先生が違いますから…。

−病院が請求するのではないのですか。

OM:いいえ、手術してくれたのは専門医の先生ですが、専門医は病院に勤めているわけではなく手術するときは病院を借りるのです。

−専門医ですか。

OM:ええ、日本と違ってオーストラリアは家庭医と専門医に分かれています。普通の病気の時は家庭医に診てもらいます。家庭医にはあらかじめ登録しておかなければなりません。

左から2人目がグラニさん
【写真は、シドニーのオペラハウス】

−そのときにお金を払うのですか。

OM:それが家庭医によって違うのです。無料のところもあればお金を取るところもあります。

−医者によって金額が違うなど日本では考えられませんね。どうやって家庭医を選んでいるのでしょうか。

OM:重い病気の時や手術が必要な時には家庭医から紹介された専門医に診てもらわなければなりません。ですから家庭医を選ぶときにもいい専門医との関係を持っている医者を選んだほうがいいのです。

−それはそうですね。ところで何日ぐらい入院なさったんですか。

OM:2日間です。

−随分少ないですね。検査とかはどうしましたか。

OM:それが検査はその病院でするのではなく検査専門の場所でするんです。ですから、入院した日に手術します。私の場合は午前8時半に手術したんですが、私はその日2番目に手術を受けましたから、最初の人は午前6時半頃に受けたんだと思います。

−そんなに早いんですか。

OM:そうそう、手術の時の消毒も自分でしました。病院からチューブに入った消毒用石けんを渡されたんです。それを使って前日の夜と当日の朝に頭の先からつま先まで全身を消毒しました。こんなんでいいのかと不安でした。勿論、お腹を切る前の消毒は手術室でちゃんとやってくれたはずですが…。

−驚きました。

OM:驚くことは他にもありますよ。手術後4時間でシャワーを浴びさせられたんです。切ったところは塞いでありましたが、ばい菌がつかないかとても心配でした。

−そうですよね。他にも日本の病院と違うところがありましたか。

OM:まず、食事ですね。日本だったらおかゆとか何か消化のいい特別な食事が出ると思うんですが、こちらではたくさんの具が入った大きなサンドイッチが出てきました。さすがに食べられませんでした。それに痛み止めをくれたんですが、それが確かパナドールという日本なら薬屋で誰でも買えるような薬だったんです。

−それじゃ、効かなかったのでは?

OM:ええ、結局日本で医者にもらっていた薬を飲んだんです。

−本当に大変でしたね。

OM:ええ、貴重な経験でした。今回のことではびっくりしましたが、そのほかの点ではオーストラリアの生活はいいところがたくさんあって気に入っています。楽しいですから、これからもここで暮らすつもりです。

(2011年11月)