−キムさんはオーストラリアに住んで1年半以上になるそうですが、ここでの生活をどのように感じていますか。
Kim:静かで落ちついています。自然がいっぱいでいいですね。いろいろなところにたくさん公園がありますし、多くの公園にバーベキューの設備があって誰でも無料で使えます。オーストラリア人は生活を楽しんでいる気がします。
−息子さんもここでの生活を楽しんでいますか。
Kim:ええ、来た当時は英語ができなくて大変だったようですが、今はすっかりなじんでいます。今小学6年生ですが韓国の学校よりオーストラリアの学校の方がいいと言っています。宿題も少ないし全体的にのんびりしています。韓国に比べて勉強が厳しくないからかもしれませんが……。
−韓国は競争が厳しいですからね。食べ物はどうですか。
Kim:大きなスーパーもありますし、果物や野菜なども山のように積まれて売られています。豊かな感じがします。果物はとてもおいしいですね。また韓国や中国の人の経営する食料品店があるので食材について困ることもありません。
−他に違うことは?
Kim:車の運転ですね。こちらの人は道を渡ろうとしている人を見かけたら必ずと言っていいほど止まります。運転の仕方も穏やかです。
−信号が少ないですね。
Kim:ええ、ほとんどがロータリーになっています。右側優先で急がせられることもないので助かります。クラクションの音を聞かないでしょう。だから町がとても静かです。
−そうですね。
Kim:それに住宅街ではスピードが出せないようになっています。
−特別な工夫をしているんですか。
Kim:ええ、まっすぐに行けないように、一車線なら急なカーブになっています。スピードを落とさないと曲がっていけませんから……。
−それはいいですね。
Kim:それからところどころ道が盛り上がっています。スピードを出して走ったら車がバウンドしてしまいます。
−歩行者が大事にされているんですね。
Kim:ええ、人間をとっても大切にしていると思います。
−いい生活ですね。ところで困ったことはありませんか。
Kim:そうですね。例えばここにあるソファーですが、家具店で注文して届くまで1ヶ月もかかったんです。在庫を置いていないんですね。
−随分のんびりしていますね。
Kim:それに店員がビジネスしようという気がないように思います。携帯電話の更新に行ったときのことです。事務的にその契約を更新しようとするんです。他にもいろいろなメニューがあってちょっとお金を払えばもっといい携帯が買えるんです。店にとってもそのほうが特だと思うんですが、それを説明しないんです。また希望の機種の在庫がなくても他の店に問い合わせたりしないんです。こちらから言って初めてやってくれます。さすがにデパートではそんなことはありません。ですからたまたまその店員がそうだったのかもしれませんが……。
−そうですよね。
Kim:こちらの店員さんはよく話しかけてきます。とてもフレンドリーでいいと思います。でも後ろで急いでいる人はいらいらするかもしれませんね。
−そうですね。それでのんびりしすぎなんて言われるのかもしれませんね。
Kim:ええ、サービスに関してはやっぱり問題があると思います。ここでは特に郵便や宅配サービスで品物を受け取るのがとても難しいです。品物をアパートの外の入り口に置いておかれたり、結局空港へ取りに行くことになったり、その時間はいないと連絡しても毎日同じ時間に不在者通知が入れられたり……。
−そうですか。レストランなどではどうですか。
Kim:アメリカなどではチップをたくさんもらいたいのかとても気を使ってくれますが、こちらはチップがありませんからすごくサービスがいいということもありません。
−でもチップを気にしなくていいのは助かりますよね。
Kim:そうですね。そうそう、こちらで驚いたことの一つに、銀行にあまり現金がないことです。
−どういうことですか。
Kim:現金をおろすときは5千ドルぐらいの金額でも予約しておかなければならないんです。
−そんなに少ないお金でもですか。
Kim:ええ、こちらの人は現金を持ち歩かないんです。チェックにするのが普通みたいです。それにしても結構大きな銀行にも現金がないので驚きました。
−安全のためでしょうか。
Kim:わかりません。それに1万ドルをおろそうとしたときには銀行員に何に使うのかと聞かれました。
−随分、違いますね。
Kim:ええ、今は違いを理解した上で生活していますから、快適にオーストラリアで生活しています。
(2011年10月)