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スウェーデンの結婚


  岡部グニラ(スウェーデン)

−グニラさんのご主人は日本人だそうですが、当時は国際結婚する人は珍しかったのでしょう。

グニラ:ええ、私はスウェーデンで夫と知り合いました。国際結婚だということについては基本的に問題はありませんでした。父は死亡していたし、母は44歳で私を産んだので、当時かなり年を取っていました。でも私が連れてくる人はいい人だ、変な人は連れてこないという考えだった。実際には彼はスエェーデン人に比べて小さいし、ギターを持っていてヒッピーみたいで、かなり変に見えたと思いますが…。

−そうですか。

グニラ:もちろん私が大学まで行ったのにどうしてこういう人を連れてくるのか、と言った人も周りにはいました。でも母はスエェーデン語しかわからないし外国へ行ったこともなかったけれど、彼を受け入れてくれて、とても仲良くしてくれました。その点で彼はとても感謝しているそうです。

−スウェーデンで結婚したのですか。

グニラ:ええ、当時は飛行機代などが大変高かったので、彼の家族はスウェーデンに来ることができませんでした。日本に来たときにみんなを呼んで披露宴をしましたが…。

−スウェーデンの結婚式や結婚について話してくださいませんか。

グニラ:現在は大勢人を呼んで伝統的な大きな結婚式をする人もいれば、結婚しないで家族を持つ人もいます。今は結婚しない人がとても多いです。私の姪も結婚していないですが、子供が3人いるし家もあるし2人はとても仲がいいけど結婚はしていないんです。

−結婚しないメリットがあるんですか。

グニラ:ないと思います。気持ちの問題があるかもしれないです。別れようと思えば簡単に別れられるとか。でも彼らの生活を見ると別れたいとか思っていないし…却って結婚しない方がめんどうくさいと思うんですが。

左から2人目がグラニさん
【写真は、親戚と一緒のグニラさん(左から2人目)】

−なぜでしょうか。

グニラ:私も知りたいですよ。結婚すれば法律で守られますし。40年ぐらい前は一緒に暮らしている人たちのだいたいのパターンは、女の人が毎日自分のお金で買い物したり、ご飯を作ったりしていて、アパートとか車とかは夫の名前で買っていたのです。ですから別れる場合は妻はほとんど何も持っていなかった。妻のお金は生活のために使ってしまっていましたから。それでそのときに新しい法律を作ったんです。それは結婚した時としないときがほとんど同じ内容でした。でも100%でないから、本当に権利を守りたいなら結婚した方がいいと思います。もし神様の前で約束したくなかったら市役所に行けばいいんですが、中には死ぬまでは長すぎるので約束したくない人と言うもいます。

−名字を変えたくないとか。

グニラ:そうですね。日本では名字をどうするかと言う問題もあります。でも日本の友人で、じゃんけんに負けて妻の名字になった男性もいましたよ。

−本当にじゃんけんで決めて、奥さんの名字になったんですか。

グニラ:そう言っていましたよ。スウェーデンでは名字の問題もありません。名字を変えなくてもいいですし、ハイフンつけて両方使った名字にしてもいいです。

−普通はどうですか。

グニラ:一般的には男の名前になる人が多いです。自分の名前と相手の名前を使う人も多いです。別れる時は簡単、しっぽを切ればいいんですから。最近結婚した姪は珍しい名字同士だったんだけどそうしました。日本にいる甥の名前は父親と母親の両方の名前を使っているのでとても長いです。

−長い名前で困ることはありませんか。

グニラ:そうですね。もし甥の相手の女性も両親の2つの名字を使っていて、生まれた子供が両親の名字を使うことになったら…。

−4つになっちゃうんですよね。

グニラ:そうですよ。甥に名字が4つになったらどうするのって聞いたら、笑っているだけで何も言わないんですよ。

−そうですか。どうするんでしょうか。名字は大切なことですよ。

グニラ:ええ、私はキャリアを積む前に結婚したから自然に「岡部」を選びました。

−そうですか。

グニラ:こういう例もあります。知り合いが結婚したんですが、両方とも珍しい名字だったので、自分の名字を大切にしたいと考えてそれぞれの名字を使っていました。子供が生まれたとき両方の名前じゃなくてパパの名前にしたんですが、その後家族の中で自分だけが名字が違ったためにいろいろ面倒なことが起きたそうです。結局彼女もしばらくして夫の名字に変えたそうです。

−いろいろですね。

グニラ:ええ、でも自由なことはいいことです。次に結婚していなくて不利になる場合について話しましょうか。

−ええ、お願いします。

グニラ:相手が亡くなった場合ですね。結婚していて子供がいる場合は遺産は半分は奥さん、半分は子供に行きますが、奥さんは生きている間その遺産を全部もらってもいいんです。もし財産が家だけだったら半分に切れないから、生きている間は奥さんのものにします。お母さんが亡くなった後、子供に渡るんです。でも結婚していない場合、子供が欲しがったら子供にも最初から遺産をあげなければならない。お母さんはその家を売らなくちゃならないです。

−でも結婚していなくても遺産をもらえるんですよね。

グニラ:ええ。相続の場合親子が仲良ければ問題ないかもしれないけど、子供が彼の子供という時もあります。彼女の子供じゃないんです。最近、そういうケースが多いです。家族関係が複雑になっています。私は新しい法律は必要ないと思っていました。本当に守ってもらいたいなら結婚すればいいんですから。

−結婚しない人のほうが多いんですか。

グニラ:最近また結婚する人が多くなっています。今東京にいる子の親は今年50歳なんですが、当時は結婚しないのが普通だったんです。最近結婚した子は30歳ですが、今また結婚することが流行っている。結婚することが流行るとか流行らないとかおかしいですよね。こっちはついて行けないんです。別の姪も50歳で子供が2人いるけど、やっぱり結婚していない。彼女の母は私の姉です。最初は子供ができたら結婚すると言っていたそうです。でももう子供が2人もいるし、上の子は20歳になりました。その子供が小さいとき洗礼を受けさせています。私が「あなたは伝統的なことは好きじゃないと思っていたわ」と言ったら「嫌いじゃないわよ。別に」と言われてしまいました。

−ところで結婚式はどうですか。

グニラ:伝統的な結婚式は教会でそれから別の場所に行ってパーティーをします。日本のような結婚式場はありません。レストランや自宅でやってもいいし、公民館のようなところでする人も多いです。公の場所は安く借りられますから。料理は自分たちで持って行かなければなりませんが…。立派な台所がついているし、お皿とかもたくさん用意されています。その子の結婚式はケータリングでした。とにかくスウェーデンの結婚式はお金がかかりません。日本の結婚式も好きですが、スウェーデンの結婚式もとてもいいですよ。
(2011年8月)