世界は水不足
− 連載エッセー「徒然の森」第71回

by 北嶋 千鶴子

 21世紀は水戦争の時代になると言われている。日本は水が豊富な国なので水戦争と言われてもぴんと来ないだろう。水不足と言って思い浮かべるのは夏、九州や四国の一部でダムが枯渇して水道水が不足したことがあったなあということぐらいだ。ピンとこないのだ。

 また日本では水道の水がそのまま安心して飲める。しかし最近ではペットボトル入りのおいしい水を買う人も多い。「ミネラルウォーターを買うほどではないが、水道水では物足りない」という人のために容器を買えば無料で浄水を提供するサービスをしているスーパーも増えている。

 このように恵まれている国がある一方で、汚い水を飲まなければならない地域や、水そのものが近くにないので毎日大変な労力をかけて運ばなければならない地域もある。近年温暖化の影響で雨の降り方がますます偏ってきた。急に雨が降らなくなって砂漠化が進んでいる国が増えてきている。

 植林によって砂漠化を解消し結果として水を増やそうという試みがなされている。しかしこれには時間がかかりすぎる。海水を真水に変える技術が開発され、世界中で活躍している。しかしこれにはお金がかかりすぎる。貧しい人たちには縁遠いので、結局水不足は解決されない。

 日本は莫大な食糧を輸入している。これも結局は水を輸入していることになるのだという。そうであれば食糧の自給率をあげることが世界の水不足に貢献することになると思う。
(December 20, 2008)
(連載エッセー「徒然の森」は今回が最終回です。新年から新シリーズを始めます)