1人暮らしのデメリット
− 連載エッセー「徒然の森」第70回

by 北嶋 千鶴子

 国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集(2005年版)によると、40歳で、未婚の独身女性の場合、平均寿命は77.18歳で、結婚している場合の平均寿命85.28歳に比べて、8.10歳短命、未婚の独身男性の場合、70.42歳が平均寿命で、結婚している場合の平均寿命79.06歳に比べて、8.64歳短命だそうです。

 独身者はなぜ短命なのでしょうか。その原因ははっきりしません。厚生労働省の少子化に関する意識調査研究によると、既婚女性・未婚女性とも結婚のメリットは精神的な安定だという回答率が高いそうです。

 このことを身近な人の例で考えてみます。私の母は51歳で父を交通事故で亡くした後、1人暮らしを続けました。そして平均寿命からみてもかなり早い58歳で亡くなりました。ガンでした。

 母の生活を考えると、独身というより1人で暮らすことがよくないのではないかと思います。母は家事が得意でも好きでもありませんでした。でも2人暮らしのときはそれなりに家事をしていました。相手がいるのでしなければならなかったのです。でも1人になると自分さえ気にしなければ散らかっていてもかまわないのです。食事も好きな物を食べるという生活になってしまいました。1日中好きな本を読みながらごろごろしていたのです。

 1人暮らしの60歳代の友人はよく、1日中誰とも話をしないと口がこわばってくると言っています。彼女はそのため、新聞の音読を続けています。しかし彼女のように、自分で意識して努力する人は少ないでしょう。
  独身というより1人で暮らすことのデメリットがあると思えます。
(November 15, 2008)