毎日が「三隣亡」
− 連載エッセー「徒然の森」第59回

by 北嶋 千鶴子

 11月は毎日が「三隣亡」のようだった。

 まず毒虫に足を刺された。猛烈にかゆくなり、あっという間に赤く腫れ上がった。間もなく痒みは治まったけれど、掻いたこともあって大きなあざのようなあとが三つ残った。医者にはあとが消えないかもしれないと言われた。このまま大きなあとが残ったら、スカートは履けそうもない。

 次に熱湯をこぼして、手にやけどを負ってしまった。お客さん用にスパゲッティを茹でたあと、お湯を流そうとしたら手に引っ掛けてしまったのだ。すぐに水で冷やしたら軽い症状で済んでいたかもしれない。でもお湯と一緒にスパゲッティまで流してはいけないと思い、我慢してお湯がなくなってから水で冷やしたのだが、その時はもう遅かった。お客さんがすぐ訪ねてきて医者に行くこともできず、その結果症状がひどくなってしまった。これも未だに治療中だ。

 最後にこれが私にとって一番深刻だったのだが、ある朝、目が覚めたら右の足先が痺れていた。脳梗塞でも起きたのかと思った。すぐに病院へ行かなければと思いながらも何となくぐずぐずしていて、脳外科に行ったのは2週間ほど後だった。CT(コンピュータ断層撮影)やらMRI(磁気共鳴画像装置)やら大騒ぎしたけれど、脳にも腰にも異常は見られなかった。まだときどき痺れるときもあるが、だんだんよくなっている気もする。背骨が曲がっているときや、糖尿病の場合にもこういう症状が起きるらしい。友人は接骨医に背中をたたいてもらったら治ったなどという。いつまでも痺れが続いたら接骨医に行かなければならないかもしれない。

 というわけで、今月は医者通いが忙しくて、エッセーが大変遅れてしまった。すみません。
(November 27, 2007)