目から鱗の本音トーク
− 連載エッセー「徒然の森」第56回

by 北嶋 千鶴子

 ひょんなきっかけから東京MXテレビの朝番組「モーニングサプリ」を見るようになった。月曜日から金曜日まで、顔ぶれの違う外国人3人とタレントの司会者、日本人コメンテーターの計5人が午前7時から1時間半、様々なテーマについて話し合う。

 ときどき討論を盛り上げようと無理しているのではないかと思うときがあり、言い方が激しすぎるのではないかと思うときもあるが、番組自体はきわめてまじめだ。討論の内容は教育やファッション、子育て、格差社会などバラエティーに富んでいる。外国人もヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカなど世界中の国から集まっている。それぞれの国と日本との違いも紹介され、日本や日本人に対する本音が聞ける。だから外国人向けの日本語教材を書いている私の仕事にとても役に立っている。

 このトーク番組を見ていると、目から鱗の思いをすることが少なくない。
  例えば先日ロシアの女性が「どうして日本人は自分の意見をはっきり言わないのか」と話していた。一緒に食事に行く日本人に何が食べたいか聞くと「何でもいい」という返事が多い。そこで彼女が具体的に「○○を食べよう」と言うと、日本人は「それはちょっと」と答えるという。彼女はどうして初めにそういわないのか理解できないと言っていた。これは私を含め多分、ほとんどの日本人にとって何の疑問も抱かないことだと思う。多分日本人はこう答えても「何で最初に言わないんだ」などとイライラしたりしない。当然の会話の流れなのだ。

 フィリピン系イギリス人の女性は、日本人はどうして「端」に行きたがるのかといぶかっていた。電車で端の席が空くと、隣の人がさっと詰めてしまう。レストランに入ると、必ずと言っていいほど壁ぎわのテーブルに座る。それが不思議だというのだ。
  毎日新しい発見があるので、私にとって見逃せない番組になっている。
(August 15, 2007)