「増税」に驚く
− 連載エッセー「徒然の森」第55回

by 北嶋 千鶴子

 住民税の増額に驚いている人が多いという新聞記事を読んだ。特に定年になって自分で払うようになった元会社員にその感が強いかもしれない。会社に勤めていたときは所得税、住民税などは給料から天引きされていて、差し引きされた金額を給料と感じてしまう傾向があったのではないだろうか。給料の支払い明細書をじっくりと調べてみれば、もっと納税者意識が高まり、税の無駄遣いにも関心が寄せられたと思う。

 政府は所得税、住民税両方を合わせると全体では今までと同じになると説明している。しかし、住民税は前年の所得に対して払う。所得税が減ったのは今年の1月からだ。住民税は今年から増えている。毎年の収入にさほど違いがなければ問題はないが、定年を迎えて退職金を貰ったりなど何らかの理由で昨年の収入が多かった人にとっては、実質的な増税になるのではないだろうか。

 また、給与所得者・自営者・農業の税の補足率が10・5・3とか9・6・4とか言われているのも問題だ。消費税でも、私たちが払った消費税の全額が納められているわけではない。素人考えではあるが、これらの問題が解決できれば、税金が足りないから消費税を上げなければならないなどという必要はないのではないか。

 皆さんは日本の国の借金時計というのを見たことがあるだろうか。まもなく800兆円に届くだろう。途方もない数字だ。
(注)借金時計のページ:http://www.takarabe-hrj.co.jp/clock.htm

 恐ろしいスピードで借金が増えている。見ていて胸が苦しくなるほどだ。またこれとは別に地方自治体の借金も200兆円を超えている。夕張市のように破綻しそうな自治体も数多くあるそうだ。

 私たちはこの借金を子供や孫に残すわけにはいかない。7月29日は選挙だ。よく見極めて1票を投じたいと思う。
(July 15, 2007)