共同購入グループの活動停止
− 連載エッセー「徒然の森」第49回
by 北嶋 千鶴子

 昨年夏、10年近く続けていた共同購入グループのボランティア活動を止めた。中心になっていた人が70歳を超えてもう体力の限界と言い、私には引き継ぐ時間も能力もなかったのでグループを解散することになったのだ。

 私たちが活動を引き継いで20年近くが経っていた。当時はポストと呼ばれる牛乳や食品の配達拠点が、私たちの住むエリアで60以上もあった。しかし年々減って解散時には半分近くになっていた。また各ポストも年寄りばかりになって数も減り、運営も難しくなった。最近は赤字続きで、積み立て金を取り崩すようになっていた。もう限界だったと思う。最後にお金が僅かながら残ったので、会員にチーズを配ることができたのが不幸中の幸いだった。

 私たちの共同購入グループに限らず、生協の活動も様変わりしている。地域に「班」という共同購入組織を作って、みんなで協力して活動するという形式を煩わしいと考える人が増えているのだ。そのため「個人班」が急速に伸びている。できないときはお互い様という考えより、誰にも迷惑をかけたくないという人たちが増えたためかもしれない。それ以前に、働いている人が多くなったという変化もある。だからだろうか、自宅に配達してもらうより店舗へ行くほうがいいという人も多い。

 子供に安全な食べ物を与えたいという動機で私はさまざまな共同購入活動に参加したり、自然食品の店で買い物をしてきた。しかし子供も大人になり、正直言って熱意がかなり薄れている。今でも生協で品物を買っているが、最近は美味しければいいかという気持ちが時折忍び込んでくる。

 自分の畑で作ったものを食べ、毎日パンを焼いている友人もいるが、本当に贅沢な暮らしをしていると思う。羨ましいと思うけれど、私はほかのことに時間を使いたい。残された時間が少なくなってきたからだ。

 新年を迎え、するべきことを取捨選択しなければならないと考えている今日このごろである。
(Januar 15, 2007)