増えてきた無料サービス
− 連載エッセー「徒然の森」第48回
by 北嶋 千鶴子

 大学で無料コピーサービスが流行っているそうだ。
  学生は無料でコピーできる。ただコピー用紙の裏には広告が印刷されている。企業にとっては、相手を絞って宣伝が出来るメリットがあるわけだ。まだ始まったばかりでその効果のほどはわからないが、両者の思惑が一致して大人気を博し、参加を希望する企業が増えているそうだ。

 デジカメで写した写真を無料でプリントしてくれるサービスも出てきた。出来上がった写真を見るとその半分に宣伝が載っている。あるいは写真の隅に企業や製品のロゴだけがプリントされている。デジカメでたくさん撮影しても、コンピューターに保存したままになっている写真は山のようにある。それをプリントしてくれるのだ。ほんの少々の広告を気にしない人ならこれで十分だ。そういう人が多いのか、こちらのサービスも大人気だ。

 最近は様々な無料のサービスが流行っている。消費者がお金を出して買っていた物やサービスが無料の製品に押されている。人々が無料の物に手を伸ばすのは自然なことだ。無料の雑誌、無料電話、日本ではまだ多くないけれど無料の新聞などだ。あまり意識しないけれど、民間のテレビ番組は、最大手の無料サービスかもしれない。それらを支えているのが広告だ。無料の製品を考えつき、次々にビジネスとして成り立たせてきた才能に感心する。
  「ただほど高い物はない」などと諫められてきたが、時代は確実に変わってきた。
(December 15, 2006)