保育園で遊ぶ
− 連載エッセー「徒然の森」第22回
by 北嶋 千鶴子

 私の孫は1歳。よその大人には近づかないけれど、ほぼ同じ年齢の子供にとても興味を示す。公園で遊んでいる子供の姿を見るのが好きらしい。ある日買い物帰りに子供が遊んでいるところを見せようと、乳母車に乗せて保育園に向かった。天気がいい日で子供が園庭で大勢遊んでいた。私たちの姿が目にとまったのか保母さんが寄ってきて、「一緒に遊びませんか」と言って門を開けてくれた。

 やっと立てるようになったばかりの孫は一緒に遊べるわけではないが、ともかく仲間に入れてもらうことにした。大きな子供はプールで、ほかの子供は砂遊びをしたり滑り台ですべったり、庭を走り回ったりしていた。大きな乳母車にも4人ほどの子供が乗っていて、年上の子供らが遊ぶのを見ていた。孫も乳母車に乗せてもらったり、砂場の横にちょこんとすわってみたり、初めての経験を楽しんだようだった。子供には子供が必要だと改めて感じさせられたひとときだった。

 保母さんが名前と住所を書いてくれと書類を持ってきた。そこには保育園で遊ばせてもらった子供の名前が書いてあった。保育園を地域に開かれたものにしようという試みなのだろう。

 このほか、市の保育園には一時預かりという制度もある。親が病気や急な用事があるときに子供を預かってくれるのだ。働く親を支援するだけでなく、専業主婦のための工夫もなされている。その後、孫も母親の勉学のために何度かこの制度を利用させてもらった。まだ子供の枠が少なくて預けられないことも多いそうだが、冠婚葬祭をはじめ学校の行事などさまざまなケースで利用されている。私が子育てをしていたときに比べると、子育ての制度は格段の進歩を遂げていると感心した。
(7 October, 2004)