新年会 '04
− 連載エッセー「徒然の森」第13回
by 北嶋 千鶴子

 例年通り正月二日、わが家で外国人のための新年会を開いた。

 床の間に花を飾り、炭を置く。玄関に香をたく。夫に着物を着てもらったが、私は動きやすいように作務衣にした。私たちは正月以外ほとんど和服を着ることはないので、帯の結び方はどうだったかななどと言いながらやっと身に着けた。少しでも日本的な雰囲気を出すためだった。ところが今年来たアメリカ人夫婦はなんと、着物を着て初詣に行ったと、会の半ばで写真を見せてくれた。日本人より日本人的だったのだ。

 新年会はほとんど日本語で話が進んでいく。日本語を習い始めて一年以上たった人は国籍に関係なく誰とでも話ができるので楽しそうだし、始めて間もない人はたどたどしい日本語で、なんとか会話に加わろうとする。冗談が飛び交い、笑い声が響く。普段は英語を使う生活で何の不自由も感じない欧米人が、もっと日本語が上手になりたいと思うひとときだ。

 座って会食するのでいつも足が痛くなる外国人がいる。テーブルの下で足を伸ばしたり、もぞもぞしたり。それも日本の文化だと理解してもらいたい。

 おいしそうな料理をたくさん用意する。若い人が多いので肉料理が多くなるが、だいたい10品ぐらい。私流はいつも時間をかけない。それでも前日から準備するので、元旦はいつも大忙しだ。新年会が終わると、やっとのんびりしたお正月が迎えられる。
(07/01/2004)