花見
− 連載エッセー「徒然の森」第4


by 北嶋 千鶴子

 桜といえば花見。春になるとどこかに桜を見に行きたくなる。桜並木の下をそぞろ歩きすると幸せな気持ちになる。そして毎年各地の桜を求めて歩き回ることになる。今年は花見を楽しめない。

 桜は何でも好きだ。艶やかなしだれ桜も素朴な山桜も好きだ。桜といえばソメイヨシノが有名だが、そのほか340種類もある。中には淡い黄緑色や緑色の桜もある。珍しい桜は東京近郊の多摩森林科学園(http://www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/) で見ることができる。

 今ではこんなに桜に興味があるが、子供のころは桜の木はもっぱら木登りの対象だった。またサクランボとの違いを知らなかったころ、桜の実を食べたことがある。 口は真っ黒になるしまずいし・・・

 記憶にある最初のお花見は小学校時代だった。授業をつぶして先生が連れて行ってくれたのだ。桜並木の下一面に桜の花びらが散っていた。私たちはみんなうきうきしていた。桜があまりにきれいだったからか授業がないのがうれしかったからか、今ではもう分からないけれど。

 私の生徒は花見客によくお酒をごちそうになる。いつもは外国人を避けているようなおじさんたちが「いいから、いっぱいだけでも」と言って、見知らぬ外国人に声をかけてくる。花の下での宴会は気分を開放的にしてくれるのかもしれない。ずっとその状態が続いていれば、日本ももっと楽しい国になるのに。
(07/04/2003)