運動会
連載「日本の行事12ヵ月」 −10月
by 北嶋 千鶴子

 10月はスポーツ大会が盛んな月だ。土曜・日曜には各地の学校で運動会が行われる。私が小学生のころは50メートル、100メートル徒競走、障害物競走、ダンス、玉入れ、大玉転がし、綱引き、組み体操、棒倒し、騎馬戦などが行われていた。

 運動が苦手な子供にとって最も嫌なのが徒競走だ。昔は背の高さの順番でつまり体型をもとにして走るグループを決めていた。しかし足が遅い子にも1等を取れるチャンスを与えるために、今は事前に計ったタイムをもとにしてグループを決める。だから同じぐらいの速さの子供が一緒に走る。最後の組は最も遅い子供達が走る。ここで最後になった子供は学年で一番遅いと証明されるわけだ。本当に子供のための新システムなのかどうか。

 組み体操では最後にピラミッドを作る。一段二段三段と人間ピラミッドを作っていって最後の一人が立ち上がり手を広げる。待ちに待った瞬間だ。しかし最近の子供達は体力が落ちていて下積みになった子供達が上の重さに耐えられない。ピラミッドが崩れてしまうのだ。それでミラミッドは止めてしまおうという学校が出てきた。

 棒倒しや騎馬戦もけがをして危ないからと言ってやらない学校も多いそうだ。子供の体力の衰えに合わせてできることばかりしていては段々レベルを落とさざるを得なくなって益々やれない競技が増えてくるのではないだろうか。

 また運動会の練習がうるさいと近所から苦情が来ることも多いそうだ。人間の許容範囲がどんどん狭くなっている気がする。娯楽が少なかった昔は村中の人々が参加してまるで村祭りのような運動会が開かれていたそうだが、今ではめったに見られない。

 いろいろ問題が多い運動会だが、秋晴れの元、元気いっぱいな子供達を見るとうれしくなる。
(10/01/2009)

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