花見
連載「日本の行事12ヵ月」 −4月
by 北嶋 千鶴子

 季節季節でいろいろな花を楽しむことができます。けれども桜ほど日本人に愛されている花はないでしょう。「桜」は1度に咲いて1週間ぐらいであっという間に散ってしまいます。そのはかなさが日本人の心情にぴったりあっていたので、桜がもてはやされるようになったのかもしれません。この季節桜の開花を予測する「花前線」が新聞やテレビなどにも登場します。それだけ日本人が桜に関心があるということです。

 花見の起源は奈良時代の貴族の行事だと言われています。「観梅」と言う言葉もありますから、梅が鑑賞されることが多かったのですが、次第に桜に変わってきたようです。そして「花」といえば桜を意味するようになりました。

 しかし日本人がどうして桜を好むのか理解できないという外国人もいます。多くの中国人も「桃」のほうがピンク色が際だって美しいと感じているようです。オランダならやっぱりチューリップ。人によっても好きな花が違います。

 日本ではわざわざ「花見」に出かけなくてもあちこちで桜が観られます。また染井吉野という品種が有名ですが、そのほかにも250種類以上の桜があります。黄色い桜があることまでは日本人でもほとんど知りません。

 この時期になると「花見ツアー」「桜祭り」など様々な行事が行われます。有名な桜の名所には人々が押し寄せます。東京だけでも桜の名所があちこちにあります。千鳥ヶ淵、隅田川など特に水辺の桜が美しいと思います。

 見るだけでなく飲んだり食べたりするのも「花見」の楽しみの1つです。「夜桜」を見ながらの宴会も盛んです。夜のために席取りをする新入社員の姿も見受けられます。お酒が入るので歌ったり賑やかです。普段は恥ずかしがり屋の日本人が見ず知らずの外国人に声をかけて宴会に誘ってくれたりすることもあります。

 1人で静かに花見をするのも、大勢の人とわいわいがやがや騒ぐのも楽しい「花見」の季節です。
(4/01/2009)

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